- 医局に入ったけど仕事がつらくて後悔している
- 医局人事に不満をもっているのは自分だけなのだろうか?
- 退局した医師は、どんな理由で医局を辞めたいと思っているのだろうか?
研修医3年目以降は医局に入局し、専門医を目指すというキャリアがスタンダードです。悩むことなく医局に入ったという方も多いでしょう。しかし医局に所属することは人事権を医局に受け渡すということです。
実際に医局に所属してみて感じる後悔や不満もあるでしょう。この記事では私が実際に感じた医局人事の負の側面について紹介します。

2022年4月に退局を果たしたげんまいです。入局して10年余り、専門医は取得できたものの医局人事の理不尽さも感じていました。
1年半の転職期間を経てクリニック勤務医に転職。この記事では医局人事に疲れた一人のマイナー外科医が医局を辞める決心をした本音の部分をお見せします。
今の医局での働き方に疑問を持っている方もぜひご覧ください。
医局を辞める理由、その建前の部分。教授や医局長向けの理由はこちらの記事で考察していますので併せてご覧ください。
公平ではなかった
つらい環境下でみんなが少しづつ負担し支える。このようなシステムであったならば、私は医局に対して負の感情をもつことはありませんでした。
大変な病院に何年もおかれる
ですが実際はその逆で特定の医局員に大変な仕事が集中するという人事がまかり通っていました。多数の関連病院を持ち、業務内容も様々。全く同じ勤務体系で統一するというのが無理なことは分かります。
不人気病院があったとしても、勤務の年数を調整すれば一人一人の負担は軽減されるはずです。でも私の医局にそのような配慮はありませんでした。
声が大きいものが得をする
医局の中にいて思ったことは、結局意見を強く主張したものが権利を得られるという点でした。あまり不満を言わない私は医局にとっては非常に使い勝手のよい人員。通勤が大変な病院や、人数が少なく大変な病院に行かされることが多かったです。
それなら自分も声を上げればいいとも思うのですが、自分自身の気質としてなかなか難しく、主張するぐらいなら人事を受け入れればいいか、という考えになってしまいました。

我ながら(医局にとって)理想の医局員です。
オンコールがつらかった
医師になって最も不満を感じていることがオンコールの制度です。携帯の着信音が嫌いになり、よく空耳で聞こえてくるようになりました。
医局関連の病院はほとんどが総合病院
もちろん医局人事に関係なく、総合病院であればオンコール当番はあるでしょう。医局人事にでは、そのほとんどが総合病院の勤務であり、オンコール制度があります。
電話がかかってこなくても気が休まらない。遠出もできない。それでいて待機料も発生しない。労働基準法的にアウトなのではと思う日々でした。
二人常勤がつらかった
医局の関連病院には二人常勤や一人医長の病院もあります。さすがに専門医を取得する前での学年での一人医長の人事はありませんでしたが、二人常勤はありました。
よく見積もっても2等分で2日に1回はオンコール。部長はオンコールをあまりやりたがらない人だったので、その分傾斜がつきました。
家族を犠牲にしていた
入局してから結婚し子どももできました。それまでは自分だけの生活だったので、帰りが遅くなっても何も感じませんでしたが、家族ができてからは、日付が変わりそうな時間に帰宅するたびに、罪悪感を感じるようになりました。
子どもが知らぬ間に成長
大学勤務の忙しい時期は、大学の仕事以外にも外バイトもあって、家に帰る時間が最も少ない時期でした。妻からのLINEで「今日こんなことがあったよ」と子どもの成長を見る毎日。やるせなさを感じずにはいられませんでした。
妻との喧嘩で我に返る
オンコールで呼ばれたことにいらついて、結婚後初めて妻と喧嘩したこともありました。完全に私に非があるのですが。その時は本当にこの生活を続けてていいのかと思い直すきっかけにもなりました。
1-2年での移動に疲れた
医局人事でとくに専門医を取得する前の学年は1-2年での転勤が多いと聞きます。私の医局もそうでした。不人気な関連病院をすぐ抜けれるというメリットはあるものの、慣れた環境を離れまたすぐ別の環境に慣れなくてはならないというデメリットはそれを上回っていました。
職場は基本的に勤続年数が増えるにしたがって働きやすくなるものですが、それがないというのはつらいものです。治療方針で悩む時間は必要だと思いますが、新しい電カルの使い方に悩む時間というのは本当にもったいないと思います。
基本は車での通勤片道1時間以上はつらい
私の住む場所は地方の車社会。病院への通勤は基本的に車一択でした。関連病院は広く点在し、片道1時間以上のところもありました。
妻も働いていたので引っ越しは選択肢になく、泣く泣く1日2時間のドライブに耐えていました。
大学に戻ってからは雑用ばかりだった
これまでに挙げてきた不満も、手術を始めとする治療など自分の裁量がそれなりに与えられていたため、辛くても我慢できる範囲内でした。しかし大学病院への勤務になったことでやりがいも失うこととなります。
手術は上が独占
関連病院では普通にやっていた手術は、上級医が全て執刀します。周術期の管理だけが自分に渡されます。
病棟での雑用が降ってくる
入院時の説明、手術同意書の取得、トラブル症例の対応、みんなやりたくない仕事が全部自分に回ってきます。
オンコールの配分も下が多め、というか上級医は負担しません。当直明けに帰ってまた病棟にとんぼ返りという経験を幾度もしました。
大学病院ならではの仕事も回ってくる
大学病院ではご存知の通りコメディカルの権利が強くなっています。通常勤務帯を外れると採血もしてくれません。ラインの確保、検査時の付き添い、医師ではなくてもできる専門性の低い業務に普段の業務が圧迫されます。
学会での発表・抄読会の準備・論文執筆
教育面は大事ですが、私自身にとっては重視したいものではありませんでした。雑用で疲弊したところに、「学会の演題出してね」とさらに追い打ちをかけられます。
自分自身が本当にしたいことは何かと考える暇もありませんでした。
まとめ
医局員時代の愚痴になってしまいました。同じような悩み・不満を持つ先生も多いはず。医局を辞めることで得られるメリットは確かに存在します。
「今の生活が何か違う」と思ったら、医局員として臨床医の最前線で働く以外の選択肢も一度見ておくことをおすすめします。
選択肢を知った上で今の働きからが最善と思って続けるのと、知らずにこの働き方しかないと思っているのでは全く違います。
医局人事に疲れたら「医局を辞める」という選択肢について一度本気で向き合ってみることをお勧めします。