医局を辞める

医師転職は正解?医局を辞めて感じるメリット7選

医局をやめて感じるメリット

医局に所属している医師の皆さん、今の働き方に疑問をもつことはありませんか。1年前まで私もその一人でした。

  • 医局をやめたらどんな生活が待っているんだろうか…
  • QOLは改善する?収入はどうなるの?

医局の理不尽な人事に不満はあれど、退局のハードルはなかなか高いですよね。実際には医局人事で働いている医師が大多数であることも事実。退局後の働き方について知る機会はそう多くありません。

この記事では2022年4月に退局⇒クリニックに転職した私が、「医局を辞めて感じるメリット」を紹介します。

医局人事での働き方がつらい・転職も考えているという方はぜひご覧ください。

自分の時間が増えた

退局して一番魅力に感じているは、やはり勤務時間が大幅に減らせたことです。

医局を辞める前の勤務体系

私の所属する科はマイナー外科です。仕事の大変さを診療科別に見たときに、大体中間くらいに位置していると思います。

それでも大学の医局で派遣されていく病院では、定時での帰宅はまず無理です。手術が定時に終わればまだいい方。手術が20時頃に終わって、そこから病棟業務に手を付けるということも多々ありました。

手術自体は好きなので仕事として充実はしていました。ただ21時を過ぎて帰宅し、家族が寝てしまった自宅に帰ってもあとは寝るだけ。自分のことをする時間はほぼありませんでした。

土日も回診当番で病院へ。関連病院には部長と二人常勤の病院もありましたから、21日連勤なども当たり前でした。これにオンコールも加わればかなりの拘束時間となります。

医局を辞めた後の勤務体系

私は2022年4月にクリニック勤務医への転職を果たしました。条件は下記のとおりです。

  • 週4日
  • 勤務時間 8:00~18:00
  • 残業なし
  • 当直月2回(寝当直)
  • オンコールなし

今働いているクリニックでは毎日当直を出しています。必ず定刻通りに代わりに医師が来ることになっているので、引継ぎすれば業務は終了。残業もほぼありません。

勤務日も転職時に希望して週4日にしていただきました。医局員時代と比べればはるかに自由な時間が増えたことになります。

時間が増えて始めたこと 

自分の時間が増えたので色々なことに挑戦しています。

  • 朝のランニング
  • 家事育児への参加
  • 医師のポイ活
  • ブログ執筆
  • 投資の勉強

今までは毎日がヘトヘトで朝なにかしようという気になれませんでしたが、自分の時間がつくれたことでランニングもできるようになりました。

細々と取り組んできた医師専用のポイ活にも割ける時間が増え、現在は月3万円前後のポイントを稼いでいます。

⇒医師のポイ活はスキマ時間に最適

趣味としては、兼ねてから興味のあったブログにやっと手を出すことができました。もともと文章を書くことが好きだったので、楽しんでやれています。

家族のストレスが軽減された

医局員時代から考えていたことですが、自分にとってつらい勤務体系は、家族にとってもストレスであったと思います。

家族の犠牲の上に成り立っていた

私は妻と二人の子どもの4人暮らし。妻から「家に帰ってくるのが遅い」とか不満を言われることはありませんでした。しかしそれは妻自身もストレスを抱え込んでいたことに他ならず、犠牲を強いてきたのだと反省しています。

自分のリソースを大切な人に使うことの幸せ 

もちろん医師として患者を助けたいという思いはあります。ただまずは自分や家族を大切にできなければ、心は荒んでしまうと思うのです。少なくとも私自身はそうでした。

今は日々の診療に全力で取り組くみつつも、心の余裕があります。「自分や家族のことを最優先に考える」私にとってそれが生きる上で重視すべきことだったと、今回の転職を通して改めて感じました。

転職前に一度自分の人生に対する価値観を考え直してみるといいでしょう。

育児に参加できるようになった

上の子が小さいときは、妻にほぼワンオペの育児を任せてきました。ハイハイができたよ。立てるようになったよとか、なったよというのも妻からの伝聞ばかり。

転職後からは育児にも参加できるようになりました(そもそも育児は夫婦が協力するものであって参加というは語弊がありますが)。

子どもの成長を見れる、これほど幸福な時間はほかにありません。

収入が増えた

転職する上で給与面も重要です。

以外にも年収アップ

今回の転職はQOLの向上がメインテーマだったので、正直収入は下がると思っていました。いざ自分の手元に届いた求人を見てみると、勤務日は減っているのに収入は現状維持~増加という案件が複数届いていました。

大学病院の給料は薄給

皆さんもご存じかと思いますが、大学病院からもらえる給料はおおくありません。手取りで月20-30万円前後。そのかわりに医局が用意してくれたバイトに精を出すことになります。

私の場合は、大学からの給与が年収400万、週一回の外勤先が年収600万、あとは当直や土日祝日の日直を入れて併せて年収1,400万くらいでした。ただ週に2-3回当直を入れることもざらでした。

クリニックでの年収は1,600万円

現在の勤務体系は前述しましたが、この業務内容で年収は1,600万円になっています。当直はないものの、オンコールのないこの体制で収入アップまで実現したことは、うれしい誤算でした。

転職の理由は人それぞれ。給与に重きを置く方であれば、転職前と同等の業務負担で年収を大きくアップさせることも可能です。

毎年人事に悩まなくて済むようになった

私の医局では例年2月頃に医局人事が決定されていました。医局長と数人の幹部医師が総枠をつくり、教授の名のもとに執行されるという決め方です。

一応希望は聞かれるものの、人気の関連病院に行ける確率は低いです。また関連病院は県内のみならず、近隣の都府県にもありました。

いつも年始になるソワソワし始め、新しい勤務先がどこになるかと戦々恐々としていました。

目当ての病院となったとしても、新しい環境になれるのはストレスです。専門医を取得するまでは1-2年で次の病院へと転職を繰り返しました。

現在はというと、そのようなストレスから解放されました。今年のお正月は気持ち安らかに過ごせそうです。

オンコールがなくなった

オンコール、私が一番嫌いな言葉です。とくに呼ばれることがなくても、病院から30分くらいのところにいないといけなかったり(本当はそんな就業規則などないのですが)、心が休まらなかったり、それでいて待機だけでは何の手当もでません。

とはいえ呼ばれればもっとストレスです。いつも自分一人で対処できなかったらどうしようとか考えこみながら、夜中車を運転していました。

現在のクリニックは、夜に必ず当直帯の医師がきてくれるのでオンコールで呼ばれることがありません。スマホの着信音が空耳で聞こえる現象もだいぶ落ち着いてきました。

自分の興味のないことを時間を割かない

自分で開業したわけではないので、すべて自分の裁量というわけにいきませんが、転職をつうじて勤務医でも自分の働き方を決めることができます。

私にとっての興味のない業務は以下のことです。

  • 研究・学会発表
  • 論文執筆業務
  • 管理者業務

学会に参加するのは好きですが、学会の準備は嫌いです。医局に属している頃は、毎年の学会発表は義務でした。研究や論文執筆も同様です。

医局を辞めたことによって、このあたりの医療とは直接関係ない(しかしながらかなり労力を費やす)業務から解放されました。

今は強制ではない執筆作業(このブログ)に楽しんで取り組んでいます。

医局に支払うお金が減った

医局では医局費と呼ばれる会費が請求されます。これは医局によって多寡が決まります。私の医局では月1万円が請求されていました。

どこに支払うかというと、勧誘費とは名ばかりに医局開催の飲み会代にほとんど消えていきます。

医局費という固定費を削減することができました。

他の医師の意見

私が感じている医局を辞めたメリットは上記の通りです。さらに他の医師が感じているメリットについても取り上げてみたいと思います。

人間関係の負担が減る、しがらみから解放される

医局に所属している方の中には、人間関係そのものに軋轢を感じて去っていく医師もいます。とくに上層部との関係が悪化するとその後の人事にも悪影響を及ぼします。

医局をやめることでそういったしがらみをリセットすることが可能です。

病院での出世が望める

人間関係と通ずるところがありますが、医局の上層部から気に入られてなければ医局内での出世は難しいでしょう。

医局から離れて病院として個の力が強い環境となれば、コネがなくても実力でキャリアを勝ち取れます。

まとめ

今回は転職から半年経過した私自身の体験を踏まえ、医局を辞めることのメリットを紹介しました。

医局人事で疲弊し退局・転職を検討している先生方の一助になれば幸いです。ご覧いただきありがとうございました。